
ホムンクルスには複数の意味がある。
- 錬金術師によって作られる人工生命体。
- 古い時代の生物学での前成説において、人間の卵または精子の中に入っているとされた人間の雛形。1.からイメージを借りたもの。胚発生を参照。
- 体性感覚において脳機能局在論による脳皮質の該当区分のこと。体性感覚を参照。
この項目では1.のホムンクルスについて述べる。

ホムンクルスを作り出す錬金術師。
ホムンクルス(Homunculus)は、ヨーロッパの錬金術師が作り出す人工生命体、または、その生命体を作り出す作業のことである。
製法は、ヨーロッパルネサンス期の錬金術師パラケルススの著作 De Natura Rerum(『ものの本性について』)によれば、蒸留器に人間の精液を入れて(それと数種類のハーブと糞も入れる説もある)40日密閉し腐敗させると、透明で人間の形をした物質ではないものがあらわれる。それに毎日人間の血液を与え、馬の胎内と同等の温度で保温し40週間保存すると人間の子供ができる。ただし体躯は人間のそれに比するとずっと小さいという。[1]
ホムンクルスは、生まれながらにしてあらゆる知識を身に付けているという。また一説によるとホムンクルスはフラスコ内でしか生存できないという。
パラケルススはホムンクルスの生成に成功したとされる。しかし、彼の死後、再び成功した者はいなかったという。
アレイスター・クロウリーは著作『ムーンチャイルド』の中で前述のような人工生命体としての解釈を誤りであると主張している。これは彼との交流によって描かれたサマセット・モームの小説『魔術師』に対する反論の意味合いが強いとされている。作中提示されるホムンクルスの製造法は一般的なものとは違い、赤子の体内に霊を導き入れて創造するという方法である。
18 - 19世紀のドイツの文人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、自身が生み出した戯曲『ファウスト』第二部第二幕の中でこのホムンクルスを題材に取り上げており、また、現代においても(特に日本で)、様々な漫画やコンピュータゲームでストーリーの題材にされている。キリスト教では、この技術は創造主である神・ヤハウェの領域に人間が足を踏み入れるものとして恐れられている。
関連項目[]
- ゴーレム
- 人造人間
- 人工授精
- 生命倫理学
注釈[]
- ↑ 『錬金術と錬金術師』(フィギエ)に引用されたラテン語De Natura Rerumの訳 『錬金術』(セルジュ・ユタン 白水社1972年 ISBN 4560055254)
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